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各ファイルの大きさと転送にかかった時間については関係が深く、特にモノクロ画像に比べカラー画像では、RGBの3つの色ごとに分解して保存するためにファイルの大きさが大きく、今回用いたなかではカラー写真を低圧縮(ほとんど圧縮されない)JPEG像で569kとファイルが大きくその転送にも9分06秒と長時間を要した。一方をそれを高倍率で圧縮した高圧縮のファイルでは同じ画像を63kまで圧縮でき送信も40秒で可能であった。画像の実用的なレベルを考え特に複数の画像を送信する場合があることを考えると、送信画像は圧縮を行うべきと考えられた。結果を全体的に考慮すれば、50dpiで取り込んだものを送るよりは、150dpi程度で取り込んだ物をJPEG方式により高圧縮を行うか、100dpi程度で取り込んだ物を中等度圧縮を行うのが、画像の質、ファイルの大きさの両者を考慮すると適当と考えられた。

 

画像の判読について;
送られてくる画像については、以上の検討より100dpiで中等度のJPEG圧縮を行うことを前提に、データ転送を試みた。その結果、一般的な画像の判読には支障はないが、甲状腺癌の内部のような細部を観察したい場合には不十分な場合があった。また、画像の最も典型的な断面をとらえたものの診断は容易であるが、検査目的と異なる断面、または依頼目的のはっきりしない画像については、診断の困難な例が多かった。これは、超音波だけでなく画像診断全体に関係することであるが、目的とする疾患とは異なる断面では、当然重要な情報は得られない。次に、画像の拡大率については、臓器全体をとらえたものは、臓器の位置関係を評価するには抵当であるが、多くの写真が描出された異常像がなにかを知りたいというものであり、質的診断をしたい目的部分を拡大したものの方がより良い情報がえられた。診断に必要な画像の枚数については、一般的な超音波診断は、直接被検者を診ることが一般的であるが、既に記録された画像から判断を行う場合では、同一臓器について多数の断面から記録したものを用いて判断を行うことになる。しかし、そのためには当然枚数分だけの転送に時間がかかり、長時間回線を占有してしまうことになる。そこで、現実的には、病変部をとらえた画像についてのみを送り、アドバイスをを受けるというのが、もっともよいと考えられた。なお、多数または大きなファイルの転送は、上記の目的および経済的にも夜間の送信が望ましい。
画像以外のデータの添付については、一般的に患者の主訴、年齢などの情報がない場合には、画像の診断率が低下すると言われており、同時にこれらの情報があることが望ましい。

 

問題点:
いくつかの問題点があげられているが、第1にはこれを実際に運用する場合に、どの部門で責任をもって動かすかである。これまでの実験のごとくあらかじめ時間的余裕があるときに行うことには問題ないが、日常的に稼働するのは容易ではない。基本的には、超音波専門医がおり広く超音波検査を主に担当している臨床病理部ということになるが、現時点で即座に対応するためには、人的・時間的対応が必要となるであろう。
次に、結果についての運用の面では、これは他の画像通信などにもいえることであ

 

 

 

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